綿菓子と唐辛子



…あ、そういえば。


「ヒ、ヒメ」


佐々木さんの話は一旦置いといて、俺は急いで持ってきた辞書を取り出した。
昨日作ってもらった押し花を見せようと思ったからだ。

クローバーが挟まれているページを開いて、ヒメに見せた。


「昨日さ、南に作ってもらったんだ、放課後。ヒメからせっかく貰ったものだから」

「……」


隣で静かに本を読んでいたヒメは、俺の辞書に目を落とした。


「…」

「…ヒメ?」


…な、なんか、今日は妙に静かだな…。


「あのー…」

「…あ、うん。ありがと、綺麗だな」

「…………」



…え、そ、それだけ…??

今日、ヒメに見せたくて昨日の夜からそわそわしてたんですけど。反応薄いな。

そんなにどうでもいいことだった?