まだ、少しだけ自信がないのか、震えているくちびるを、ヒメのくちびるに近づける。
「…は」
心臓がうるさすぎて、息をするのもやっとの状態でキスをしながら、ヒメの身体を引き寄せた。
「…」
相変わらず、甘い匂いがする。
何度も何度も、触れたくなる甘さ。
初めは触れるだけでも心臓が破れそうだったのに、妙な自信をつけたのか、俺の理性は完全に崩れ始め、何度も何度もヒメをせめるようになっていた。
「…ナツ…っ」
「…黙って」
熱い。
こんなにも、熱いものだとは思わなかった。
こんなにも、止まらなくなるものだとは、思わなかった。
もう一度、ヒメの綺麗な手を引き寄せて、口元に寄せる。
手のひらにチュとくちびるを這わせると、ヒメの身体はたちまち硬直した。
「…ヒメ、大丈夫?」
いつの間にか、下に組み敷いていることに気づいて驚く。
でも、ヒメは思ったよりも落ち着いた様子で、首を縦にふった。
柔らかいベッドが、キィ…と音を鳴らす。
沈んでいく身体が、徐々に近くなる。
「…ヒメ」
もう一度顎をすくって、柔らかいくちびるに触れると、また一瞬、キュッと握りしめられた手のひらは、そのままゆっくりと力を失っていった。



