スッと手をとって、頰のあたりまで手首を持ってきて、そのままヒメを見る。
あまりジッと見て欲しくないのか、ヒメは目を逸らすけれど。
「…細くて、白くて、綺麗な手だな」
ほんのりと、ヒメのにおいがする手首にくちびるを近づけた。
ビクッと震えて、また赤くなるその顔を覗き込んで。
意地悪だと思いながらも、もっとそんな顔が見たくて仕方なくて。
「…ほんとにいーの。ヒメ」
「…うん…」
心から愛しいと思える人を、この腕に抱くことは、そんなに簡単なことじゃない。
…そんなこと、俺はヒメに会うまで気づくことなんて出来なかった。
だからこそ、もっともっと、大切にしたいって思っていた。
だけど、
「今日だからこそ、ナツと一緒にいたいって、思ったの…」
「………」
だけど、好きだからこそ、きみのすべてを手に入れたいとも、思うんだ。
「…そんな可愛いこと、簡単に言っちゃだめでしょ」
「…かわいくないよ、全然」
「何言ってんの?お前はもっと自分の魅力を理解しなさい」
こんな細い腕をした、華奢な身体。俺が力を込めてしまったら、すぐに折れてしまうんじゃないかと思ってしまう。
…でも、そんなきみを、これでもかと言うほど、甘く、甘く抱きしめたいとも…
思うんだ。



