綿菓子と唐辛子



「それからな、もし大丈夫だなと思うやつ見つけたら、またすげー好きになって、今度は死ぬほど大切にしてもらえよ。それまでは無理すんな。嫌いなままでいい。お前の好きに生きればいいんだからな」

『うん…っ』

「また、これから色々大変な時は俺に言え。力になってやる」

『うん……っ!』



もう、好きだとか、恋とか、愛とか、そういうのじゃないんだ、きっと。


きっと、それを通り越して、もっともっと大切なところから、俺は姫芽のことを見ているのだろう。


「安心して行ってこい、相坂!」

『……………っ』



いつの間にか頰を伝う涙は、どういう意味の涙だったのか。


でも、きっと俺は、これから姫芽が笑って生きていくために、俺以外の誰かと、また手を取り合って生きていくために、それを願って生きていくのだろう。


姫芽がまた帰って来たその時は、この嫌な思い出だらけの場所であっても、噂が流れまくる嫌な環境であっても、ちゃんと、姫芽らしく過ごせるように。


そして、姫芽の大切な家族も守れるように。


少しは、力になれるように。

そうやって、影でサポートしていくんだ。




『ありがとう…本郷くん…………』




だから、行ってらっしゃい。



相坂。






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