綿菓子と唐辛子




…その日から、俺は無理に姫芽のところに通うのはやめた。



知らない男に監禁され、性的な暴行を受けていたということを後々聞いて、

きっと俺自身も傷ついていたし、姫芽だって俺が考えられないくらいのショックを受けているはずだ。


…もう、何も触れない方がいいと思った。


男が逮捕されて、警察の調査も入って、様々なことが調べあげられていく。


そんな時間の流れの中でも、姫芽は自分自身と戦い、俺も、高校受験を控えていた。



少しずつ、男性のスタッフとも話せるようになってきていると聞いた時は、少しだけホッとしたけれど。


…でも、俺は、もう姫芽の前に自分から現れるのはやめようと思った。



もう、終わりだ。

どんなにあがいても、願っても、あの日に戻れることはきっとないだろう。


…それは、少しは成長した中学卒業間際の俺には理解できた。





「………ひめ、」



理解、できた。



どんなに子どもでも、バカでも。

今の姫芽の想いだけは、理解できた。




…きっと、これから姫芽は、俺に会うたびに思い出すのだろう。


あの日の、ことを。
連れ去られてしまった時のことを。