綿菓子と唐辛子



それから、姫芽の家を訪ねてみたけれど、母親はいなかった。

家も真っ暗で、玄関も開いていない。



…もしかしたら、また、母親が入院することになったのかもしれない。



さっきのその電話は、そのことだったのかもしれない。


「…っ」



あぁ、どうして俺は、それさえも聞こうとしなかったのだろう。


どうして、ひとりで行かせてしまったのだろう。



「…やっぱり、捜索願い、出した方がよさそうね」

「…」

「学校に、連絡しましょうね」




それからは、あまり記憶がない。


姫芽と突然離れてしまったこと。

姫芽が、姿を消してしまったこと。

家に、誰もいなかったこと。


そればかりがグルグルと脳内を回って、俺の首を絞めてしまうようで。




「分かりました。お母様の病院にも、連絡を取ってみます。何か分かったら、また連絡をください」



警察は、比較的すぐに動いてくれた。

学校側は、担任の先生が俺の家に来て、話を聞いて。

姫芽のお母さんとも連絡をとってみると言っていた。




…でも、その日、姫芽が見つかることは、なかったんだ。