綿菓子と唐辛子



****


中学3年、9月。

姫芽の誕生日当日。


この日は、普通に学校があった日だったけれど、俺たちは放課後、校門のまえで集合した。




「姫芽、ほんとに今日、大丈夫だったわけ?」


制服姿でリュックをしょい、校門前に立っている姫芽。


「うん、いいの。お母さんには、伝えてきたから」

「ふーん…?」



いつもは、門限6時とかって言われているのに。

今日は、よく許したな。姫芽の母ちゃん。




「…んじゃ、今日はゆっくりと誕生日を祝いますか」

「やった!」


そのまま、部活をサボって、姫芽と一緒に電車に乗った。


そして、その水族館まで一直線。



楽しかった。

姫芽と一緒にいられることが。


楽しかった。

こうやって、俺に笑顔を向けてくれることが。




楽しかったんだ。

楽しくなるはずだったんだ。




…今日の、姫芽の誕生日は。