綿菓子と唐辛子




ーーーーー……………



本郷が繋いでいく言葉を、俺はただ、耳の中へ押し入れていた。


まさか、だった。


ついこの間、プールで偶然会ったこの男が、姫芽と昔、恋人同士だったなんて。


…昔、姫が好きだった人だなんて。



「…ま、前置きはここまでで、」

「………」



手に、変な汗がにじんだ。

それは別に、元恋人を前にした敗北感とか、劣等感からじゃない。

…俺が、覚えていたからだ。



ヒメの、言葉と、行動。

こいつに、この目の前の男に、どんな反応をとっていたかってことを。



「…前置きも何もねぇ。俺は全部知ってんだよ…」

「ん?」



ヒメは、忘れていなかった。

こいつが今、どういうつもりでヒメに近づいているのか。

どういうつもりで、今、俺に話しているのか。


そんなの、分かったもんじゃないけれど。







ガシャーーーーーン…!!



「…っ!!!」




息をついて、落ちつかせるのが一番なんだろうけど、そんなの、今の俺にはできないことだった。




「…じゃあ、お前がやったのかよ…」




この怒りは、おさまることを知らない。