日曜日のお昼には、姫の地元に着いた。


あの後すぐに出発したかったけど、ヒメの家の事情とか、準備とかが立て込んで、着くのが夜中になってしまう状況になってしまったのだ。

本郷という男は、あれから本当に電話番号を教えてくれて、何かあったらここにかけるようにと言っていた。


別に電話をかける用事はないと思っていたけれど、ヒメの事情もあって、最寄り駅でその男と待ち合わせすることになった。


…本当は、ものすごく嫌だったけど。



ヒメの実家は、俺が住んでいるところよりも伸び伸びとしていて、周りを見渡すと自然が多くあった。

…まぁ、母親は喘息でこっちに残しているって言ってたし、綺麗な空気があるところなんだろうとは、思ってはいたが。



…そんな中、新幹線を降りて、最寄り駅まで向かった俺は、そのまま聞かされた電話番号を見つめた。

本当は、着いたらかけろってことなんだろうけど、なんとなく、かけたくない。


あいつが何者なのかも分からないし、第一、あまり良い印象がないからだ。