綿菓子と唐辛子



「…ナツ、飯くらいはちゃんと食えよ」

「……」

「大丈夫だって。担任は事情知ってるっぽいし。数日すれば帰ってくるって」

「………」


…ヒメ。

ヒメは今、どこにいて、何をしていて、どんな風にこの1日を過ごしているのだろう。

この世に生まれた日くらい、俺にお祝いさせろよって言いたくなるけど、きっとヒメには色々な事情があるんだよな。


…それは、分かってるんだ、俺だって。




「……勇哉」

「ん?」

「…お前は、ものすごく好きな女が、もう他の男に触れられてたらどう思う」

「…は?」

「しかも、無理矢理」

「……」



分かっているのに、大きな不安がなくならないのは、きっと。


俺が強がって、俺だけの力で、ヒメを守れるとずっと思ってきたからだ。