『2015年に起きた、女子中学生監禁事件で、逮捕されていた男の裁判が、来週月曜日に行われることが分かりました』
…早口で読み上げるアナウンサー。
よく動く口が、忙しそうだ。
「あー、あったなあ、こんな事件。もう2年前になるのか」
「んー、そうだな」
…監禁事件か…。
これも、ヒメと同じ、性的暴行を加えていたとかいう悲惨な事件だったっけ。
「…………」
そんな時、犯人の男の顔が映し出される。
…ヒメは、その時付き合っていた人って言ってたけど。
やられてきたことは、この事件と同じようなことなわけで。
「…っ」
…やっぱり、ものすごく、ものすごく怖かったんだろうな。
それはもう、もう二度と男と向き合いたくなくなるくらい、苦しくて苦しくて、死にそうな思いまでしていたのかもしれない。
…そう思うと、やっぱり、どうしても苦しくなって。
不安になって、足元から崩れ落ちそうになってしまう。
「…ナツ?大丈夫か?」
「…っ」
…俺は、ヒメのことを支えると言った。
でも、それはほんとうに、できるのだろうか。



