綿菓子と唐辛子


確かに、泳いでいたプールは、少し深めだった。

ヒメが普通に立っても、胸元より上に水位がある。

つまりは、自分で浮き輪の上に登ることは難しいってことを言ってるのか。


「大丈夫だよ、乗れるって」

「え?どうやって?まさかプールサイドから飛んで、乗るっていうそういう感じか……?」

「ぶふ」


真剣に分析するヒメを見て、つい笑ってしまった。

プールサイドから飛び込むって、どんな入り方だよ、それ。

危ないにもほどがあるだろ!


「いーから。俺に任せとけって」


俺は、引っ張っていた浮き輪を、自分のすぐ近くまで持ってきた。

それをキョロキョロと見ているヒメは、これから起こることはあまり予想していない様子。


「ヒメ」

「?」

きょとんとして立っているヒメに、手招きをした。


自分の胸の前に指を立てると、ためらいもなく、彼女はやってくる。