綿菓子と唐辛子



「あ、あれをしろってことか?」


浮き輪の穴の部分に体を沈めて、優雅にプカプカと浮いている人を指差してヒメは言う。

別に、しろって言ってるわけじゃないけど…。


「いや、流れるプールだから、浮き輪乗っかってたら自然に流されるよって言いたかっただけなんだけどさ」


別に、ヒメが泳ぎたいならそれでもいい。疲れないのかなって思って、言ったわけだから。


「あれ、やってみたいけど、」

「ん?」


小声でぼそっと話していたヒメ。
でも、俺はそれを聞き逃さながった。


「やってみたいの?」

「やっ、ちが…。やってみたいっていうか…、やってみたいけど、水が深すぎて、わたしの身長じゃ上に乗れないっていうか…その」

「…」


…あぁ、なんだ、そんなこと。