綿菓子と唐辛子



「…こ、こわく…な………っ」

「…」


俺が、質問をした瞬間。

ポロっと、ヒメの目から透明の涙が流れ落ちる。まるで、今まで流すことを我慢していたかのように。


…何度も見てきたはずなのに、今日はいつもよりも驚いてしまった。


「…ヒメ、」

「こわくない、ナツのことをこわいと思ったことなんて、一度もない………っ」

「……っ」



ーーあぁ、もう。

好きだ、本当に。俺は、ヒメのことが。

可愛くて仕方がない。胸の奥が、キューッと狭くなる。

少し考えただけで、苦しい。俺の名前を呼んでくれるだけで、切なくなる。

こんな気持ち、初めてだ。



「い、今まで傷つけてごめんなさい……っ。嫌いに…嫌いにならないで……っ」



…なるわけねーだろ……。

なんでこんなにバカなのかなぁ。

自分の過去を話して、俺がおまえのことを嫌いになると思ったのか?


ほんっと、バカ。



愛しいくらいに。