桜が咲いたら

“笹原武蔵”






写真の下に書かれた文字。

先輩の名前。






よく似合うと思った、

綺麗で強い、その名前。






その文字をゆっくり指でなぞると、机にぽたっと、

丸い雫が落ちた。















「すき…」






「だいすき…」










繰り返し呟いたあたしの声は、静かな部屋の空気に溶けて消えていく。






先輩を知って1年。






淡い初恋を失った、春のことだった。