最悪なことの連鎖はまだ止まっていなかったようだ。
教室に戻って携帯を開いて見てみると先輩から着信が入っていた。
先輩から電話なんて珍しい。
少し気持ちが高揚した私はすぐに電話を掛け直す。

「あ、もしもし。」

「おー、俺、今日一緒に帰れねぇわ、すまん。」

開口一番の先輩の言葉はさっきまでの高揚した気持ちが一瞬で冷めるくらいの威力を持っていた。
私の気持ちはブリザード。
ショックすぎて何も言えないでいると一方的に電話を切られた。
ホント、先輩、しんでください。


「あれ、君、また来たの?」

「……。」

先輩からの電話にへそを曲げて本日二度目第二体育館を訪れたら、またあの子がいた。

「どーしたの?ねぇねぇ。」

「………なんでもないです。」

うざい。
一言でそうバッサリと切り捨てたいくらいに彼女はうるさかった。
私がどんなに機嫌悪そうにしかめっ面しても、彼女は気にせず話を続ける。

「この体育館の横に楓の木があるんだってー。秋になったら紅葉して綺麗だろーね。見たくない?」

「…。」

ダラダラと取るに足らない話を続ける彼女。
私はめんどくさくて相づちもうたなかったのに彼女は全く気にしていない様子だ。
なんなのだろう、この子。

「そーいえば、君がいっつも見てたあのかっこいい先輩、たまにボクの所に来るんだよね。」

「……。」

表には出なかったはずだ。
彼女は相変わらずどーでもいい話を続けている。
私の心にはフツフツとなんだか気持ち悪いものが湧いていた。
先輩、ありえないです。
束縛って、するのもされるのもみっともなくて嫌だけど、今回は、例外です。
私以外の女の子と話すのは別にどーでもいいです。
でも、この一人称ボクの金髪青目の子と話すのはやめてください。
なんか、彼女だけは、何故だか許せないんです。