学校からの帰り道は一人。

今まで隣に先輩がいたからなんだか変な感じだ。
スースーする、なんていうわけではないけど、なんとなく思いついたことを伝えられる相手がいないというのはなかなか寂しい。

だけど、この寂しさも一週間もすれば慣れるだろう。
そーゆーものだ。

乾いた空気にマスクが欲しいなぁ、などと考えながら歩いていたら、家の前に誰か立っているのに気付いた。

まさか、と思ったときにはもう遅かった。

回れ右して逃げようとしたが、ガッと腕を掴まれて引っ張られた。

観念して顔を上げれば、必死の形相の先輩がいた。
めずらしい、とぼんやりと思った。

「お前、ふざけんな。」

「私はいつも真面目です。」

私が凛とした態度で言い返せば先輩は眉を動かし難しい顔をした。

「CDなら明日返します。」

「は、え。いや、CDの話じゃねぇよ。」

今度は私が難しい顔をする番だった。