着々と、一人暮らしに必要な物を揃えて……身分証明書兼移動手段として原付の免許も取った。 あの改札を見るとケンを思い出せるから、毎日のように仕事帰りには回り道をして、自分とは関係のないその出口を目に焼き付ける。 あの階段から……いつケンが降りてきてくれてもおかしく無いのに。 なんて そんな奇跡が起きる訳もなくて。 ここはこの辺りで一番の繁華街。 夜になれば甘い蜜を吸う蝶のように人が集まってくる。 そして私も……心の隙間を埋めるように、簡単にその世界へと呑まれていく。