「そうだね?」



突然話しかけられた私は少し焦ってしまう。


慣れて……ないから。


こんな時の為に練習したトビキリのはずの笑顔は想像よりも簡単に出せるモノじゃないらしい。



そんな私を気にする風でも無く



「私、高野アキナ。アキナって呼んで♪」



「あ……私矢口葵。じゃあ私も葵でいいよ!」



セミロングのほんのり茶髪なサラサラヘアを揺らしながら、小動物のようなクリクリした瞳を輝かせてアキナは言った。



やっぱりここに来て良かった。


友達も出来たし!



「ほら行こっ!!」



積極的な彼女に腕を引かれ、私の高校生活はスタートした。




このすれ違う人波の中に、運命を感じる人がいるなんて……まだ知らないまま。