それから……お母さんに頼んでケンと二人きりにしてもらった。



妊娠が分かってから疲れやすいような気がする体を無理に動かす。ちょっとの動作が赤ちゃんに響きそうで怖いんだ。



「ケン?仕事だったら探したら絶対に見つかるし、二人で頑張ろ?」



「…………」



必死な私と、難しい顔のケン。



「葵の事嫌いになっちゃった?」



「そんな事ないよ」



「じゃあ何で……」



そんなに悲しい顔をするの?



言いたかったけど、言えなかった。



「俺の親も、葵の親も、産む事に反対してるだろ?そんな中で……無理だよ……」



俯いて、ただ申し訳無さそうにするその姿を見てしまったから……もうダメなんだと思った。



たとえどんなに反対されても、私とケンの意思があれば大丈夫だって思ったのに。



「今回は諦めてほしい」



それだけ言い残すと、今日も門限を気にして帰っていく。



私はその姿を……ただ呆然と見送ることしか出来なかった。