担任である太田は、私の姿を見ても興味すら無いように何も言わない。



お母さんと何を話したか、なんて知らない。



大好きな委員長中心のギャル集団と仲良くしてたらいいじゃん?



別に助けなんて……いらないんだから。



私がここまで太田を嫌うにはもちろん理由がある。



あれは、入学して最初の日本史の授業だった。



ただでさえ、冴えない見た目、小さな背、ぶよぶよと太ったお腹、無精ヒゲ……年頃の女子高生にとって、およそ好意を持てるとは言い難い……そんな太田が言った一言。



「昔の日本では男村と女村があって……そんな別れた男女が時々わーと一緒になる日があって、つまりは乱交状態なんですね……もちろん暗闇だから近親相姦も……」



身嗜みは目を瞑るとしても……内面が、クズだ。


ただ下ネタを言って場を盛り上げたらいい、そうとしか思えない授業が気持ち悪くて……そっと耳を塞いだ。



その話にウケるクラスメイト達の中、絶対に笑ってやるもんか。



そう思ってた。



あの日から……太田なんて無視してたのに。