だけど……。
もしも、ケンが受け入れてくれなければそれは叶わない夢になってしまう。
一度笑顔になった幼い表情の私はまた、沈んだ顔へと変わっていく。
トイレを出た所で座り込んでいたケンと視線が混じり合った瞬間に……人生最大の運命の時間が始まった。
「どうだった?」
どちらともいえないケンの表情。
制服の二人をサラリーマン達がどんどん追い抜いていく。
そんな人目なんて気にせずに、私は黙って検査薬を差し出した。
「これ……」
「うん!私妊娠してるよ!」
明るく言った私に一瞬、ケンの顔がうろたえた……ような気がした。



