「これ……」
「ひょっとして手編み?」
そんなに嬉しそうにされると余計に恥ずかしい。もっともっと私が器用なら良かったのに……。
「どう?似合う?」
顔を上げた私の視界に入ってきたのは、本当に嬉しそうに、ごわごわと硬いマフラーをしてみせたケンの姿で……。
「ゴメンね!ケンのプレゼントと違って私のはこんなで……」
そんな言葉を遮るように、首にちくちくと毛糸が当たり、そっと優しいキスが包んだ。
「葵が一生懸命作ってくれたんだろ?毎日使うから!」
そんな事……。
本当に
優しすぎるよ、ケンは。
その愛情に……涙が零れた。



