新しい友達。



新しい恋。



新しい生活。



たくさんの期待を胸に、中学生活を終えた私。



「矢口 葵」



背は低め、大きな目が特徴的な顔は童顔でふわふわの天然パーマ。



美容体重に憧れるお年頃。



そんな私は今日から新しい生活へと踏み出す。



強い風のせいで舞い上がる砂埃、コンタクトに変えた瞳にゴミが入らないよう必死に堪えて校庭へと向かった。



普通科だけでも10クラスある大きな学校だから、貼られたクラス分けの紙の中から自分の名前を探し出すのも一苦労。




「1年5組かぁ……」




ようやく見つけたその一覧の中に予定通り、知った名前は無い。



本来の明るくて元気な私でいられる!



とびきりの笑顔を準備して、私は痛いぐらいに鳴る心臓にぎゅっと左手を当て落ち着かせながら教室へと向かった。