そんな私を引き上げる声がした。



視線に気が付いて、そっとケンの方を見る。



いつもと変わらない、私の理想の髪、顔、姿。そこに揺れる優しい瞳。



高望み過ぎるのは分かってた。だから時間をかけてゆっくり好きになって貰えたら、って思ってた。



失いたくない。





そんな私に……



信じられないぐらい



甘い甘い声が届いた。





「俺も葵の事、ずっと気になってた」







まさか……ね?



「……本当に?」



震える唇で紡いだ私の問いに、言葉じゃなくて微笑みでYesのサインをくれたケン。



長い間狂いそうに鳴り続けていた心臓が、その瞬間じわっと一気に温かい感情に包まれて……溶けてしまうように、私も一緒に笑顔になった。