少しでいい。



無理に限界いっぱいまで頑張らなくていいんだって……リュウジが私の手を引いてくれたんだ。



ゆっくり……ゆっくりと。



時間とともに体は回復出来るけれど、愛があれば摂食障害だってきっと乗り越えられるけれど。



それでも、どうしても残ってしまうものもある。



それは……この深い傷跡。



知らない人が見たらぎょっとするぐらいに、左腕へと無数に引かれた真っ赤な傷痕をリュウジはそっと撫でる。



「汚いなんて思った事ないから」



本当に何でもないように。



そう言って笑うから……私もこの位、大したことないんじゃないかって、ちっぽけなことなんじゃないかって。そんな気がしてくる。



また……歩けるかもしれない。