「俺さ、仕事するから。それで絶対に迎えに行くから待ってて」


強い言葉が響く。



だけど……。



「そんなに待てないよ……」



待ちくたびれ過ぎた私は簡単に首を縦に振ることなんて出来なくて。



「2ヶ月だけ。2ヶ月で何とかするから!」



今まではこうやって私が否定したら、諦める人しか知らなかった。



それなのにリュウジは……具体的な期間を決めて私を諭す。



まさか、少し前まで一緒に死にたがっていた人が……私の為なんかに、二人で一緒に過ごす為に、こんなに必死に働こうとするなんて。



答えは自然に口からこぼれた。


「じゃあ……待つ」



不本意だけど口を尖らせて我慢する子供みたいに、小さく答えた私の返事を聞くと、リュウジは満足そうに



「待っててな」



と言って……そのまま通っていた大学を中退して、家の近くのパン工場で寝る間も惜しんで働き始めた。



これまで相手の為に働いた事はあったけれど、今自分が全く逆の立場にいる。



しかも、相手はせっかく入った大学、という居場所を捨ててまで。



こんなに一途な愛情は……初めてだった。