夜になってカテーテルが外され、点滴を片手に引っ張ると、重たい体を引きずって、廊下に設置された公衆電話へと向かう。



照明が消え落ち不気味な雰囲気の中、静まり返った電話コーナーへ腰を下ろすと受話器を上げた。



「もしもし?」



「もしもしっ?……葵!?」



「……うん」



「何であんな事っ!!だけど……生きてて良かった」



それは、紛れもなく大好きな人の声。



心底うれしそうに、そして泣きそうなリュウジの声を聞いていたら……何で死にたかったのか、そんな根本から溶けていくようで。



宙を見上げる。



面会用に作られた小さな待合室の窓から宙を見上げる。



今なら分かる。



私を照らすあの光は、間違いなくリュウジだ。