少しの時間が経過して……。 「いらっしゃいませ~」 自動ドアの扉がゆっくり開く。 心臓がバクバクして抑えきれず、振り向く事すら出来ない私の耳に先輩の声が響いた。 「おぉ、ケン!ここ座れ!」 先輩が指差したのは……カウンター席の私と先輩の間。二人に挟まれるようにケンが座る。 「ケン、早かったね」 「たまたま近くにいたからさ」 平然を必死に装った私だけど、それは簡単に打ち崩される。 だって……。 先輩が……。 席を立ちながら一言。