そうして車を走らせる事1時間弱。



高速を抜け、川を越えて、目の前に見えたのは……



「お城だ!!」



「思ったより早く着いたね」



朝が苦手な私だけど、頑張って体を動かして受付へと向かう。



隣で輝くのは、いたずらっ子のようなキラキラした瞳。



「ね、高校生で入るから!!」



……まさか!!



確か、冗談でそんな事言ってたけど……無理だって。



「無理だよ!」



「いいから黙ってて」



私を静止すると、受付で本当に「高校生2枚」そう告げるリュウジ。



「いってらっしゃい♪」



笑顔のお姉さんに手を振られ、私の手元に残る今でも21歳の私に中人、と印字されたこの日のパスポート。



私は、この日の事を忘れないと思う。