「どうした?」
アイスコーヒーを豪快に一気に飲み干すと、先輩は私の瞳を見つめる。
相談に来たのに……ケンが好きで、そう言えば済むだけの話なのに。
うまく言葉にする事が出来ない。
先輩の事は信頼しているけど、どう思われるのか。お前には無理だとか言われたら立ち直れ無いし。
だからと言って、あんまり待たせるのも申し訳ない。
すっかり冷めてしまったカップの中身を私も一気に飲み干すと、思い切ってその言葉を口にした。
「私……ケンの事好きみたいなんです」
熱くなる顔を恥ずかしさで上げる事も出来ず、先輩の返事を待つ。
引いた?
バンド内で恋愛なんて……って思ってる?
それとも、ケンには彼女がいたりする?
悪い想像だけがどんどん膨らんでは消えてゆく。
「もしもし。俺だけど」
沈黙を破った声は先輩が誰かに電話をかける声。
「おぉ、じゃあ待ってるからな!ケン」
ケン?
ケン!?
「ちょっと、先輩っ!!!」



