部屋に入り、落ち着くために備え付けてあった自販機でビールを買い……。
入ったのは、よくある古めのラブホテル。
これが……私がもし、昼間の仕事だったら少しはドキドキしてしまうんだろうか?
特殊な場所で働く私には、たかがラブホテルぐらいではもう……何も感じない。
初対面の男と一緒だと言うのに、普通にお風呂に入って、備え付けのバスローブに着替えるとベッドの淵へ腰掛けた。
その瞬間!!
ぐらつく視界。
ゆらゆらと体が揺れ、気がつくと私はベッドに倒れ込んでいた。
ほら来た……そのまま襲われるんだと思った私。
だけど、リュウジは黙って私の左手を取り、大きな手で包み込む。
「綺麗な腕なのにもったいない」
剥がしたバンドエイドから零れた……刺しこんだ無数の針痕を寂しそうに見つめ、リュウジはぽつりと、口にした。