それは……本当に甘い甘い媚薬のようで。



部屋に籠り、ただパソコンに向かう娘に親は何も言わなかった。いや、言えなかったんだと思う。



アツシと暮らした家から引き取ってきた家電のおかげで、冷蔵庫と電子レンジが完備された狭い部屋では、家族と会わずに生活する事ぐらい容易だ。



コンビニで食事を買い、温めて、食べて……吐き出す。



吐き出してムカムカする気持ち悪い胃をなだめるように、今度はそこへアルコールを浸透させる。



弱った体でとっくに仕事になんか行けなくなっていた私が、こうして偶然出会った世界のおかげで最後の力を振り絞って動き出した。



死ぬために働く。



その場所は最後の砦。ソープランド。