弱い私達は、お互いの手を離せないまま……深く、深く沈んでゆく。



私は、自分の本音を言えないまま……ただアツシに怯えて過ごし、夜になれば優しく体を抱くその温もりだけを頼りに生きていて。



アツシはきっと、私を思い通りに操り、自分の欲望を満たす為……そして今では周りのほとんどが気付いているであろう見栄っ張りな自分を守るために必死だった。



マンションの壁には拳の形をした穴が開き、時折口答えをする私の体には傷が増える。



嫌いになれれば……楽なのに。



ケンを失って開いてしまった私の隙間に、たくさんの愛情を注いでくれたアツシを簡単に嫌いになるなんて事……どうしても出来なかった。



自分で思っていた以上にアツシに依存していただなんて……この時の私はまだ気付いていないまま。



苦渋の……決断をした。