「俺さ、朝はクリームパンしか食べないから」
「前の日のやつとか嫌だから」
そんなアツシのワガママを聞き、ジャージを脱ぎ捨て朝からきちんとした格好に着替える。
彼の車はミッション車だから、オートマ限定免許しかない私は渋々腰を上げ、寒い中遠くのコンビニへと歩かされる。
「車屋だしさ、それなりの車に乗りたい訳」
ある時にはそう言い勝手にローンを組んで、高級車を買ってきてしまう。
そのローンや、湯水のように使う飲み代、外食は高級志向。
いくらアツシがトップセールスマンだとしても……それでは生活は成り立たない。
結婚した所で……指輪も、ドレスも、式も、何も無い生活。
それなのに。
「金の管理ぐらいさ、ちゃんとやってくれない?」
私は缶ビールを1本買うことすら我慢させられているのに……気がついたら彼の中の完璧に合わせなくては、そんな事を思う自分がいた。
不可能を可能にする為に、私は自分の為の買い物や、アツシのいない時間の昼ごはん、彼に隠してその全てを削っていた。



