そして……。



「ねぇ……ご両親に挨拶を……」



「うちおふくろしかいないからさ。病院行って報告した時喜んでたから」



「だけど、やっぱり……」



「病気で弱ってるところ見られたくないって言ってたし」



そう、言われてしまえば反論の余地は無い。



何故か結婚を焦ろうとするアツシに疑問すら抱かなかった私は、急な話に驚く自分の親をいつものワガママで渋々納得させると……。




11月のある日、一緒に区役所へと向かう。



緊張していた割に、婚姻届はあっさりと受理されて……私たちは正式に入籍を終えた。



私が18歳。アツシが20歳。



こうしてただ……愛情に飢えていただけの、幼い夫婦が誕生した。