慌しく、市内の不動産屋を駆け回る私とアツシ。



忙しいのは当たり前。



引っ越す事を決めていた私は、今月いっぱいでマンションの契約を打ち切っていた。



「やっぱりもう少しだけ通いで仕事させて下さい!」



一緒に家を探してくれていた西山さんには申し訳ないけれど……。



かたや風俗嬢、かたや水商売の私達が借りれる家は大した選択肢も無くて、繁華街から少し離れた場所にあるワンルームマンションへと引越しをした。



1階には居酒屋さんとスナック。



いかにも治安の悪そうな場所。



そんな中、唯一の救いは……アツシがすぐに昼間の仕事を始めた事。



だけどそれは……一緒に東京へ行くと言う夢が遠のいた瞬間でもあった。



就職してしまえば……きっと簡単に辞められない……よね?