「本当に、ちゃんと東京に行ける?」



「当たり前だろ?俺のせいで延期させて……悪い」



心底悪かった、と頭を下げるアツシを起こすと、少しだけ涙目な私は答えを口にした。



「アツシと……結婚する」



その涙が嬉し泣きだったのか、悔し泣きだったのか……それは今でも定かではない。



この日から、私はまたずりずりと落ちていく。



見つけたはずの横穴。それはあっという間に行き止まりで……灼熱を帯びたその一番深い所に触れてしまった私は、その熱さに耐え切れずまた手を離す。



もう……伸ばしてくれる手は存在しない。