そんなアキナの協力もあって、すっかり仲良くなった私達。
私とアキナとケンと将君。学校帰りに一緒に駅まで帰ることも、最近じゃ珍しくないんだけど……。その日もいつものように一緒に歩いていると
「おい、ケン!今日スタジオ行かね?」
突如現れるこの徳井先輩が目下悩みの種。
こっちの事情なんて全くお構いなし!
そんな先輩に後輩である……しかも優しさ全開のケンが逆らえる訳も無くて。
「ゴメンな、葵。また誘って!」
と、いなくなってしまう。
一方の私は一日一日、ケンを知る度に幻滅する所か好き過ぎて止まらなくなるってのに。
徳井先輩は、はっきり言ってそんな私の恋路を邪魔する悪魔だ。
「俺達バンド組むからさ」
そう言って、私が触れるには遠いケンの肩を簡単に抱いて、去っていってしまうのは今日だけじゃない。
ここ最近ではすっかり見慣れた光景。
「いいの?」
アキナが私の顔を覗きこむ。
いい?
いくない!
離れたくない……けど、そんな事言えない。
無い頭で必死に考え、気がついたら……私の口からはこんな言葉が紡ぎ出されていた。
「先輩ってどんな音楽やってるんですか?」