季節は秋の入り口。
陽の差す窓際のベッドがよほど気持ちいいのか、アツシは起きる気配がない。
確かに、昨日はかなり飲んでいたみたいだし。
先月20歳になったという、少し私よりも大人なその横顔をもう一度盗み見ると腰を上げる。
ここはマンションの一階がコンビニという、家賃の割には便利な環境。
ドアを開けて目の前のエレベーターを下れば買い物可能。
コンビニの右隣は薬局で、二日酔いの時にはお世話になりっぱなし。
どうせ……すぐには起きないだろうから、コーヒーでも買いに行こう。
そっと静かに財布を持って、ドアに手をかけた瞬間だった。
「どこ行くの?」
振り向くと、いつの間にか起きたアツシがベッドに座り込み、私をまっすぐに見つめていた。