翌日。



東向きの私の部屋に眩しい光が差し込んでくる。



気が付けばもう、ここに住んで2年。ケンを忘れる為、体を明け渡した人はいたけれど……この部屋に男の人を入れた事は無い。



……のに。



私の隣には今、小さく丸まり大人しく寝息をたてるアツシがいる。



体には、指一本触れられてはいない。ただ……あの後帰る術が無いというアツシを泊めただけ。



今まで誰も入れた事の無い家に、何故入室を許してしまったのかは自分でもよく分からないんだけれど。



幸せそうな寝顔はまるで子供のようで……考えてみたら私はあまり男の人と一緒に朝を迎えたことがない。



だから思わず見入ってしまう。



自分の家に違う体温の人がいる。そんな感情があるなんて知らなかったけれど、何故だか少し落ち着いてしまう。



そんな……初めての不思議な感覚が、私の中に芽生えていた。