お店に入って2時間。
アルコールが進むにつれ、アツシの瞳がとろんと甘えたように変化してくる。
私は……いつものようにバカな振りをして、明るく振舞ってた。
だけど……その瞳が急に深く、真剣に変わったから……思わず硬直してしまった。
囚われる。
「あやちゃん、こないだの返事聞いてもいい?」
そう、アツシはしっかり覚えていた。
それならもう、はぐらかしてはいけない。
甘いセリフに、犯されてもいけない。
仮に私がアツシの事を好きになれても、私達は物理的な問題で一緒になれない。
だって……。
私はもうすぐ遠くに行くから。



