歩いて10分程して着いたお店。



二人きりな事に少し戸惑いつつも、紹介された人に挨拶をして席に着く。



雰囲気は悪くない。



朝まで営業の店にしては、デザイナーズマンションのような凝った店内、数台設置されたモニターでカラオケもあり、飲み物も豊富。



カップルから同性同士、お一人様でも大丈夫そうな落ち着いた空間で私達は向かい合った。



私も今やすっかりAV女優の仕事に慣れ、あれから日数も過ぎた。



アツシが未だにあの言葉を覚えてるとは思えないんだけど……それでも告白された身としてはやっぱり少し気恥ずかしい。



私達に共通していたのは、同じ系統の音楽が好きだと言う事と、同じ水商売な事、そして高校を出ていない……という事だけ。



今日はただの付き合いで……明日二人が帰る場所は違う……はずだったのに。