仕事は順調だった。
撮影の為に東京から大阪まで、何処へでも飛ぶ。
私の事を掘り出してくれた西山さんの口利きで、優しいスタッフに囲まれて、私の全てが映し出されたアダルトビデオが市場に出回っていく。
着実に……自分の世界が出来てゆく。
「夏見あや」で検索すると自分の姿がネット上で晒される。
少しずつ、有名になっていく私に羽が生えたような気がした。
誰かに救ってもらうんじゃなく、自力で空へ飛んでいけるような……小さな羽。
全ては順調なんだ、と思っていた。
夢中になりすぎて、寂しさを隠していた事すら一瞬忘れていたんだ。
そんな、脆い心はちょっとした温もりに流されてしまうって事、私はまだ知らない。



