お客さんが入って来て混み合う店内。忙しく接客をしている川口……じゃなく、私の前に残されたアツシ。



「前にも言ったけどさ、あやちゃん本気で俺と付き合わない?」



この人は……私の仕事を知って尚、まだそんな事を。



浅黒く焼けた肌。


今風のしゃべり方。


誰がどう見ても、ただのお調子者。



視界に入るカウンター端のお客だって、間違いなくアツシのファンだ。



痛いぐらい突き刺さるその視線に、関係ないんだから勘違いしないでよ……とこっちの気持ちまでイライラに呑まれそう。



「アツシのファンに刺されるなんてご免だから向こう行きなよ」



もう、優しい言葉は要らないから。



また、流されてしまうのが怖いから……お願いだから言わないで。