「こんにちは!」



髭とサングラスが印象的な、その業界では有名な先生にご挨拶をして扉の向こうを見渡すと……。



そこは、居住空間兼撮影スタジオになっていた。



今日から私は泊まりで撮影に入る。明日には野外での撮影がある為遠出をするらしい。



和室、診察室、たくさんのベッド。



そんな知らない空間にいちいち興味を示しながら、しかし仕事なんだと気持ちを引き締めた。



これまでこんなに真剣に、目の前の仕事に取り組んだ事なんてあっただろうか?



自分をただ陥れる為だけに堕ちてきたこの裏の世界。



それは、いつの間にか自信を持って誇れる仕事へと……少しだけ、変わってきたのかもしれない。