信じられないぐらいのスピードで人並みが、まるで何かの固まりのように動いていく光景に絶句したのは……。



初めての東京、新宿駅に降り立った時の事だった。



今日は例の特集ページの撮影。



交番前で待ち合わせをしていた編集者の西山さんと合流し、今日からの仕事について詳しい説明を受ける。



例えその言葉の前に「ヌード」が付くとは言っても、その世界にはちゃんとカリスマ的なモデルさんが存在する。



「あ、こちらですよ!!」


「撮影なんですが……」



まだ、足を踏み入れたばかりの私にまで敬語を使い、ちゃんとモデルさん扱いをしてくれる西山さんがなんだかくすぐったくて……笑ってしまう。



風俗店でも女の子がいなければ成り立たない以上、かなり丁寧に扱ってもらっていたとは思うけれど……この業界はそれ以上だ。



人並みに流されないよう必死に歩き、何度か電車を乗り継いだ先に着いた場所。



そこは、一見すると普通の民家だった。