「ねぇ……あやちゃん泊まりの撮影行けない?」



いつもの気だるい表情で、ママにそう言われたのは10月のある日。



「また雑誌ですか?」



「かなり有名な雑誌で特集組んでくれるんだって。あやご指名なんだけど」



もちろん、断る理由は無い。



撮影は東京。東京という街に興味がないと言えば嘘になる。



待合室のソファーに座りながらその雑誌の今月号を捲ってみる。



専門誌とは言えなかなかの発行部数を誇る本、そこから指名を受ける事は嬉しくもある。



特集ページはオールカラーで10ページにもなる。



男の欲望を満足させる為だけに存在する雑誌。



自ら堕ちたいと思って飛び込んだ世界。



そこで、必要としてくれるなら構わない。



私の体、それを望んでくれるのであれば……きっと、そこが私の居場所になる。