「ケン、これから宜しくね♪」
ドキドキを抑えて、精一杯の笑顔を……なるべく顔が引きつらないようにケンへ向けてみる。
そんな私に応えるように、ケンも優しい優しい微笑を返してくれたんだ。
まるで……描いていた夢そのもの。
しかし、そんなそんな妄想は大きな影に遮られた。
「なぁ、お前ら楽器に興味ない?」
って……誰っ???
ぬっと立ちふさがる先輩らしき人影。大きな背中にひょいっとギターのソフトケースを抱えている。
「あぁ、この間の説明会の時忙しくってさ。俺は2年の徳井。宜しく!」
そんな突然の登場にも関わらず、徳井と名乗った先輩の持っているギターに目が釘付けになってしまった人が約一名。
……ケンだ。



