港に近い一軒家。



2階建てな所までケンの家と一緒で、苦しくなる呼吸に耐える。



いつになったら……忘れられる日が来るんだろう?



いや、一生忘れられる事は無いのかもしれない。



「入って」



鉄扉を開け、案内されたその家はたまたま留守で……全身の力が抜けて行く。



こんな事をいちいち気にしていたら、今後付き合っていけないって事ぐらい分かってるけど……だけどまだ、そう簡単には強くなれないみたい。



ぎしぎしと軋む階段を抜けて、辿り着いたのは2階にある先生の部屋。



殺風景な6畳程の和室で座っていると、缶ビールを持った先生が階段を昇ってきた。